近視抑制治療の効果はどのくらい?お子さま向けの選択肢を比較
The CathayとJelita Mallで行っているシンガポールのお子さま向け近視抑制の関連記事です。

近視抑制治療の効果はどのくらい?お子さま向けの選択肢を比較
初回公開:2021年5月21日
最終確認・更新:2026年9月30日
お子さまの眼鏡の度数が年々強くなっていくと、保護者の方はその変化を遅らせる方法がないかと考えるのは自然なことです。
答えは「あります」です。現在、小児近視の進行を遅らせるのに役立つ、科学的根拠に基づいたいくつかの方法があります。具体的には、オルソケラトロジー(Ortho-K)、近視抑制用ソフトコンタクトレンズ、近視抑制専用の眼鏡レンズ、アトロピン点眼薬です。
ただし、近視抑制治療の比較は、どれが最も高い有効率を示しているかを尋ねるほど単純ではありません。研究結果は、お子さまの年齢、度数、進行の速さ、治療のデザイン、装用時間、研究対象者、そして進行の測定方法によって異なります。
誰にとっても「最良」な治療をひとつ探すよりも、より役立つ問いは次のとおりです。
このお子さまに最も適した、科学的根拠に基づく近視抑制の方法はどれか。そして、それが効果を上げているかどうかをどのように確認するのか。
EMME Visioncareでは、シンガポールでの近視抑制のためにお子さまを評価する際、このアプローチをとっています。
近視の矯正と近視抑制は同じではありません
通常の眼鏡やコンタクトレンズは、遠くのものをはっきり見えるようにすることで近視を矯正できます。近視抑制には、それに加えてもうひとつの目的があります。それは、お子さまの近視と眼球の成長が時間とともに進む速さを遅らせることです。
この違いが重要なのは、小児近視がしばしば眼球が長く伸びること(眼軸の伸長)と関連しているからです。眼球が長くなるにつれて、通常、近視の度数も強くなります。また、近視が強いほど、近視に関連する目の病気の生涯リスクも高くなります。
したがって、近視抑制の目的は、近視を「治す」ことや永久に元に戻すことではありません。お子さまの目がまだ成長している間に、そのままでは起こりうる進行の量を減らすことです。
近視抑制の効果はどのように測定するのですか?
近視の進行を経過観察するには、2つの重要な方法があります。
1. 眼鏡の度数の変化
屈折検査では、目の光学的な度数をディオプター(D)単位で測定します。たとえば、お子さまの度数が-1.00Dから-2.00Dに変化した場合、近視は1ディオプター進んだことになります。
度数の変化を追うことは引き続き重要ですが、度数だけでは眼球がどのように成長しているかのすべてはわかりません。
2. 眼軸長の変化
眼軸長とは、目の前面から奥までの長さです。眼球の過度な伸長は近視の進行と密接に関連しているため、眼軸長の測定は、お子さまの近視を経過観察するうえで貴重な追加情報となります。
EMME Visioncareでは、小児近視の評価の一環として眼軸長を測定し、度数、年齢、進行の経過、目の健康状態、その他の臨床所見とあわせて継続的に経過観察しています。
眼軸長とは何か、そして小児近視においてなぜ重要なのかについては、詳しいガイドをお読みいただけます。
主な近視抑制の選択肢は?
小児近視の抑制には、確立されたいくつかの方法があります。それぞれ仕組みが異なり、実際の使用上の注意点も異なります。
| 近視抑制の選択肢 | 使い方 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| オルソケラトロジー(Ortho-K) | オーダーメイドのハードレンズを就寝中に装用し、朝に外します。 | 適応のある方は、日中、眼鏡なしでクリアな視界が得られます。レンズの衛生管理の徹底、オーダーメイドのフィッティング、定期的な経過観察が必要です。 |
| 近視抑制用ソフトコンタクトレンズ | 特別に設計されたソフトコンタクトレンズを日中に装用します。 | MiSight 1 Dayのような1日使い捨てタイプは、視力矯正と近視抑制を両立できます。お子さまに適応があり、コンタクトレンズを安全に扱えることが必要です。 |
| 近視抑制用眼鏡レンズ | 専用の眼鏡レンズを、普通の眼鏡と同じように日中に掛けます。 | コンタクトレンズの取り扱いは不要です。さまざまなレンズデザインがあり、継続して掛けることが重要です。 |
| アトロピン点眼薬 | 処方される点眼薬で、一般的に医師の管理のもと定期的に使用します。 | 異なる濃度が処方されることがあります。クリアに見るために、通常は眼鏡やコンタクトレンズの使用を続けます。 |
Ortho-Kの近視抑制効果はどのくらい?
オルソケラトロジー(Ortho-K)は、一人ひとりに合わせてフィッティングしたハードコンタクトレンズを夜間に装用する方法です。レンズが目の前面の形を一時的に整えるため、朝にレンズを外した後、適応のある方は眼鏡や日中用コンタクトレンズなしでクリアに見ることができます。
お子さまの場合、Ortho-Kは光学的な近視抑制治療としても使われています。臨床研究では、オルソケラトロジーが従来の単焦点矯正と比べて眼軸の伸長を抑えられることが一貫して示されています。
治療への反応の程度はお子さまによって異なるため、公表されている平均値が全員に当てはまると考えるのではなく、一人ひとりの経過を観察する必要があります。
Ortho-Kは、スポーツが好きなお子さまや、日中は眼鏡なしで過ごしたいお子さまにとって特に魅力的かもしれません。ただし、レンズを夜間に装用するため、良好な衛生管理、責任あるレンズケア、専門家による定期的なチェックが必要です。
MiSightなどの近視抑制用ソフトコンタクトレンズの効果はどのくらい?
近視抑制用ソフトコンタクトレンズは、見た目は普通のソフトコンタクトレンズに似ていますが、遠くの視力を矯正しながら近視の進行を遅らせるよう設計された特殊な光学治療ゾーンを備えています。
その一例がMiSight 1 Dayで、小児近視の抑制のために特別に設計された1日使い捨ての二重焦点コンタクトレンズです。
MiSightの長期臨床研究では、研究対象となったお子さまにおいて、従来の単焦点コンタクトレンズと比べて近視の進行と眼軸の伸長が遅くなることが示されています。さらに長期の追跡調査でも、治療効果が数年にわたって維持されうることを示すエビデンスが得られています。
1日使い捨てレンズには、洗浄や保管をせずに毎日新しいレンズを使えるという実用上の利点があります。ただし、お子さまがレンズの着け外しに慣れている必要があり、適切なコンタクトレンズの衛生管理を守らなければなりません。
近視抑制用眼鏡レンズの効果はどのくらい?
最新の近視抑制用眼鏡レンズは、従来の単焦点眼鏡とは大きく異なります。
お子さまの遠用度数を矯正しながら、眼球の成長に関わる視覚的な信号に働きかけるよう設計された追加の光学ゾーンや小さなレンズ(レンズレット)を組み込んでいます。
現在、いくつかの専用眼鏡デザインには、通常の単焦点眼鏡と比べて近視の進行と眼軸の伸長を遅らせる効果を裏付ける臨床的エビデンスがあります。
EMME Visioncareでご用意している選択肢は次のとおりです。
- HOYA MiYOSMART:D.I.M.S.光学テクノロジーを採用。
- Essilor Stellest:高非球面レンズレットテクノロジーを採用。
- ZEISS MyoCare:ZEISS C.A.R.E.テクノロジーを採用。
これらの選択肢は、コンタクトレンズよりも眼鏡を好むお子さまやご家庭にとって特に実用的です。
継続して掛けることが大切です。専用の近視抑制レンズも、眼鏡ケースに入ったままでは本来の治療効果を発揮できません。そのため、お子さまの毎日の生活習慣や眼鏡を掛ける意欲が重要な検討ポイントとなります。
アトロピン点眼薬の効果はどのくらい?
アトロピンは小児近視の抑制について幅広く研究されており、シンガポールでは一般的に使われています。
研究により、アトロピンは近視の進行を遅らせることができ、治療への反応や副作用の起こりやすさは、使用する濃度にも一部左右されることが示されています。
一般に、低濃度のほうが高濃度よりも瞳孔の散大、近くのぼやけ、まぶしさが少なくなりますが、適切な用量は、お子さま一人ひとりの反応に応じて処方する医師が判断すべきものです。
アトロピンは通常、それだけではお子さまの遠くのぼやけを矯正しません。そのため、クリアに見るには引き続き眼鏡やコンタクトレンズが必要です。
EMME Visioncareでは、アトロピン治療を眼科医と連携して管理しており、薬の処方と調剤は眼科医が担当します。当店の検眼士(オプトメトリスト)は、全体的な管理計画の一環として、お子さまの視力、度数、近視の進行を引き続き経過観察します。
では、最も効果的な近視抑制治療はどれですか?
すべてのお子さまにとって一律に最良といえる近視抑制治療はひとつもありません。
臨床研究は複数の異なる治療法を支持していますが、ある試験の数値を別の試験の数値と直接比較すると誤解を招くおそれがあります。研究によって、対象となるお子さまの年齢や民族、開始時の度数、治療期間、治療成功の定義が異なる場合があるからです。
さらに重要なのは、研究論文で最も高い結果を示した治療でも、お子さまが継続的または安全に使えなければ、実際には最良の選択肢とはならない可能性があることです。
たとえば、コンタクトレンズの扱いが苦手なお子さまには、近視抑制用眼鏡レンズのほうが合うかもしれません。毎日スポーツをするお子さまは、Ortho-Kによる日中の自由さを重視するかもしれません。現在の方法を続けていても近視が進行し続けるお子さまは、治療計画の見直しが必要になる場合があります。
だからこそ、近視管理は製品の単純なランキングではなく、一人ひとりに合わせて行うべきなのです。
異なる近視抑制治療を組み合わせることはできますか?
現在の治療をきちんと続けていても進行が予想以上に大きい場合、臨床医が治療法の組み合わせを検討することがあります。
アトロピンとオルソケラトロジーの併用などの組み合わせについて研究が行われており、一部のお子さまでは、Ortho-K単独と比べて眼軸の伸長がさらに遅くなったことが報告されています。
併用療法がすべてのお子さまに必ず必要というわけではありません。判断は、進行の程度、治療への反応、年齢、目の健康状態、そしてお子さまを管理する専門家の臨床的判断によって決まります。
近視抑制が効いているかどうかは、どのようにわかりますか?
治療を始めることは、はじまりにすぎません。近視抑制は継続的に見直していく必要があります。
経過観察では、次のような点を確認します。
- 眼鏡またはコンタクトレンズの度数の変化
- 眼軸長の変化
- お子さまの年齢と予想される成長パターン
- 治療がどの程度継続して行われているか
- 見え方と快適さ
- 目の健康状態、および該当する場合はコンタクトレンズの安全性
- 進行の速さが遅くなっているか、安定しているか、予想より大きいか
眼軸長の測定値や度数の数値は、ひとつだけを切り離して解釈すべきではありません。重要なのは、時間の経過に伴う変化のパターンと、それがそのお子さまにとってどのような意味を持つかです。
EMME Visioncareの近視評価では何をしますか?
製品を選ぶことから始めるのではなく、まずお子さまを理解することから始めます。
近視評価では、お子さまの現在と過去の度数、近視が始まった年齢、家族歴、生活習慣、見え方のニーズ、目の健康状態、これまでの進行の速さなどを確認することがあります。
また、近視評価を受けるお子さまの眼軸長も測定します。EMME Visioncareの店舗によって、Topcon MYAHやEssilor ARK SW9000などの最新の光学式眼軸長測定装置を使用しています。
これらの測定値は、今後の来院時と比較するための基準値となります。
評価が完了したら、当店の検眼士が、Ortho-K、MiSight 1日使い捨てコンタクトレンズ、近視抑制用眼鏡レンズ、または必要に応じてアトロピンのための医療機関との連携管理など、適切な選択肢についてご説明します。
目的は、臨床研究で最も大きな数値を示した治療を単に選ぶことではありません。お子さまの目、進行のリスク、生活習慣、そして治療を継続して行えるかどうかに適した、科学的根拠に基づく方法を選ぶことです。
近視抑制は継続的なプロセスとして最も効果を発揮します
近視管理は、一度きりの処方ではありません。
お子さまの目は発達を続け、成長とともに進行の速さも変わることがあります。そのため治療には定期的な経過観察が必要であり、管理方法も時間とともに調整が必要になる場合があります。
保護者の方には、健康的な目の習慣も引き続き大切であることを覚えておいていただきたいと思います。適度な屋外活動、長時間の近業作業の合間の定期的な休憩、適切な画面の使い方は目の健康全般を支えますが、お子さまの近視がすでに進行している場合、こうした生活習慣の工夫を臨床的な近視抑制治療の代わりと考えるべきではありません。
お子さまに合った近視抑制の選択肢を選ぶために
Ortho-K、専用ソフトコンタクトレンズ、近視抑制用眼鏡レンズ、アトロピンには、いずれも小児近視の管理に用いることを支持するエビデンスがあります。
大切な問いは、単に「どの治療が最良か?」ではありません。
次のような問いです。
うちの子に適した治療はどれか。継続して行えるか。そして、経過をきちんと測定できているか。
お子さまの度数が強くなってきている場合は、詳しい評価によって現在の近視の程度を把握し、これまでの進行の経過を確認し、眼球の成長を測定したうえで、適切な選択肢についてご相談いただけます。
シンガポールでのお子さま向け近視抑制プログラムについて詳しくはこちらをご覧いただくか、EMME Visioncareにお問い合わせいただき、The CathayまたはJelita Mallでの近視評価をご予約ください。
参考文献・関連資料
International Myopia Institute(IMI) 近視管理に関する最新のエビデンスと臨床ガイダンスをまとめたIMI White Papers、Clinical Summaries、2025 Digest。
International Myopia Institute – White Papers & Clinical Summaries
Lawrenson JG, Huntjens B, Virgili G, et al. Interventions for myopia control in children: a living systematic review and network meta-analysis.(小児の近視抑制のための介入:リビング・システマティックレビューとネットワークメタアナリシス)Cochrane Database of Systematic Reviews. 2025; Issue 2: CD014758.
Cochrane – Interventions to slow the progression of short-sightedness in children
Singapore National Eye Centre(SNEC) アトロピン、近視抑制用眼鏡レンズ、ソフトコンタクトレンズ、オルソケラトロジー、併用治療など、利用可能な近視治療について。
Singapore National Eye Centre – Myopia Treatments Available
Singapore National Eye Centre(SNEC) SNEC Myopia Centreによる近視抑制治療に関する情報。
Singapore National Eye Centre – Myopia Control Treatment
HealthHub Singapore アトロピン点眼薬:小児・10代の近視の進行を遅らせるための使用を含む、用途、注意事項、起こりうる副作用。
HealthHub Singapore – Atropine Eye Drop
この記事は一般的な教育目的の情報を提供するものであり、個別の眼の検査や医学的アドバイスに代わるものではありません。治療の適応や効果には個人差があります。
